この「ラディカルランドからこんにちは」シリーズまたはインデックスの説明
「現実を見ろ」。それは、甘い情勢認識に対して、保有する資源や能力の限界を思い出させるための言葉である。現実を見ることは、しばしば苦しい。病理をもたらすことさえあるような、過酷な行為だ。このシリーズでは、そうした過酷な現実に向き合ってしまった者たち、語らずをえなかった者たちの言葉を取り上げ、そのロジックを検証する。彼らの語りは、物笑いの種となり、嘲笑され、しばしば「狂気」として忘れられる。だが、それは凄惨な事件を目撃した者が、それでもなお証言しようとしたときに立ち上がる言葉に似てはいないか? 破綻した言葉こそが、別の現実を見てしまった者の、唯一の証言であるかもしれない。だから傾聴してみようではないか。別の現実に触れられるかもしれない。
ここで言う「傾聴」とは、支離滅裂に聞こえる語りを、それが真実であるような別の現実を仮定して聞くことである。刑事ならきっとそうするだろう。だから私は、刑事のような者になろう。突飛な供述を真顔で記録し、混乱した語りの中に隠された筋道を探る者に。語り手自身がその現実に耐えきれず、記憶がねじれ、説明が破綻していたとしてもいい。あなた方はそれを、「フォーマットが整っていない」「意味不明だ」と言って笑っていればいい。しかし私は刑事のようなものであるから、刑事が「会社の鞄を落とした孫」について、詐欺のショックで吃る被害者から根気強く聞き取り、なりすまし犯を特定しようとするように、私は、爬虫類型異星人という語りが、別の現実の記述においていかに“必要”だったのかを捜査しようと思う。
だから、彼らの言葉を、証言として扱うことを拒まない態度が必要だ。そうでなければ、何一つ、事件の全貌には近づけない。これは、思想における捜査である。語られた“異常”が、ただ現実を否定するのではなく、もう一つの世界を語ろうとした痕跡である可能性に賭ける。
このように、別の現実を記述すること、これを我々はラディカリズムと呼ぼう。この現実に対して、全く異なる現実を提案すること。だからこそ、それは異常に見える。だからラディカリズムとは、より効率的な年金制度の提案ではない。軍隊の再編成の構想でも、教育制度の改善でも、税制の見直しでもない。それらはラディカルではない、と定義上言えるだろう。
そして、別の現実を知ることは、この現実を相対化することでもある。詐欺対策に本当に必要な認識とは、「馬鹿な被害者がいる」という安直な判断ではない。我々の社会と同じ場所に、“孫”や“警官”になりすましてでも他人の財産をかすめとろうとする人間が存在しているという、勤労者の道徳とは異なる水準の道徳があるという現実の直視、言い換えれば、考えたくもない現実の直視である。この「ラディカルランドからこんにちは」シリーズは、ラディカリズムの論理を内在的に把握し、分析し、提示し、あなた方に、それを可能にするための記事のシリーズであり、このインデックスはそのまとめである。あるいは私が記事を書く前に初心に立ち帰るためのメモ。
とはいえ、そんなことが可能になっても、幸福がもたらされるとは思えない。場合によっては、悪い人などいないと思っている子どものほうが、幸福かもしれない。だから、もしかすると、あなたがこのシリーズに載るかもしれないが、それは決して不名誉なことではないと、ここに書き記しておく。
2025年4月10日
円原一夫
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